アメリカのワシントンDCに国際スパイ博物館があり、オバマ大統領の演説が引用されている。「テロ行為は、自殺ベストを着たほんの少しの過激派からだけではなく、コンピュータのボードをほんの数回叩くことからもやってくる。これは大量破壊兵器だ」――。
アメリカの「四年毎の国防計画の見直し(QDR)」は、陸、海、空、宇宙に続いて、サイバースペースは第五の戦闘空間になっているとし、宇宙とサイバースペースは「グローバル・コモンズ」であり、それを守らなくてはならないと提言されているという。
しかし、土屋さんは陸などの4つは「自然空間」だが、サイバースペースは「人工空間」であり、情報通信端末、情報通信ネットワーク、記憶装置が相互に接続されているに過ぎず、それぞれには所有者がおり、実はきわめて脆弱な基盤に立脚していると指摘している。
2007年のエストニアへのサイバー攻撃、同年、イスラエルがシリアの防空網を電子的に不能にした後に砂漠の中の秘密設備を爆撃したと思われる事件、2007年7月の米韓への攻撃、2011年にイランが米最新鋭ステルス無人機を撃墜(不時着)させたといわれる事件、そして日本の昨年の衆議院のサーバーに不正侵入が行われてパスワードが盗まれた事件。今年の7月、財務省のコンピュータ約120台が長期にウイルスに感染したことや、昨今の「犯行予告メール」事件・・・・・・。不安を煽ることは良いことではないが、さまざまな規模で"サイバー戦争"が行われる潜在的な脅威を看過することができない。
サイバーセキュリティ(情報セキュリティ)は国際的重要課題となっているし、重要インフラの情報セキュリティ対策の加速、司令塔NISCとインテリジェンス機関の役割拡大は急務だ。